読みやすい文章をかく
エンジニアの仕事はプログラミングだけではありません。ドキュメントやガイドラインなど、意外と日本語の文章を書かなければいけないことが多いです。そのため、文章を書くときに気をつけるべきポイントをまとめておきました。
大切なこと
文章の目的は、「あなたの考え方を読者に伝えること」です。そして、そのために「読者のことを考える」ことが大切です。 これから記述するさまざまなポイントは、「読者のことを考える」という原則を具体化したものです。
漢字とかな
接続詞・副詞・指示語はひらがなで書きます。
- 例えば → たとえば
- 全て → すべて
- 此の、其の → この、その
「とき・こと・もの」
- 〜する時 → 〜するとき
- 〜する事 → 〜すること
- 〜する物 → 〜するもの
たとえば、「〜する時、〜になる。」という文における「時」は、時間を表していないのでひらがなを使います。
アラビア数字と漢数字
nに置き換えられる数字はアラビア数字を使います。
- 1人のエンジニア
- 2枚の指示書
- 100回以上のエラー
nに置き換えられない数字や慣用句は漢数字を使います。
- 一人きりで仕事をしているエンジニア
- 二の句が継げない
- 明日の百より今日の五十
半角と全角
英数字を書く時は、半角を使います。
- http://example.com → http://example.com
記号
文中に登場する記号についてまとめます。
句読点
「、。」「,.」「,。」など、句読点は種類が多いですが、句点・読点それぞれ1種類に統一します。
疑問符
疑問を表す「〜ですか」の後ろには疑問符をつける必要はありません。
カギカッコ
カギカッコ(「」)は、短い引用に使用します。二重カギカッコ(『』)は書名の引用に使用します。
- David ThomasとAndrew Huntは、『達人プログラマー』で、「DRY原則」を定義した。
列挙
列挙の順序を入れ替えてもいい時は、ナカグロ(・)を使います。順序を入れ替えてはいけない時は、読点(、)やカンマ(,)を使います。
- 信号は青・黄・赤の順に点灯します。 → 信号は青、黄、赤の順に点灯します。
書き言葉と話し言葉
軽い読み物では、話し言葉を使いますが、ドキュメントなど堅い文章では書き言葉を使います。
- だって → なぜなら
- じゃないか → ではないか
- けど・だけど → しかし・だが
- なので → よって・ゆえに
文は短く
文が長いと読みづらくなります。1つの文で複数の主張をしてしまうからです。
悪い例
JavaScriptは実行時にデータ型を決める動的型付け言語であるのに対して、TypeScriptはあらかじめ型定義をする静的型付け言語です。
改善例
JavaScriptは実行時にデータ型を決める動的型付け言語です。それに対して、TypeScriptはあらかじめ型を定義する静的型付け言語です。
長い文を複数の文に分ける
文が長くなってしまった時は、短くしてみると改善する場合があります。
- 〜であるが、〜である。 → 〜である。しかし、〜である。
- 〜〜であり、〜である。 → 〜である。また、〜である。
- 〜でだから、〜である。 → 〜である。よって、〜である。
- 〜のに対し、〜である。 → 〜である。これに対し、〜である。
- 〜で、〜で、〜である。 → まず、〜である。次に、〜である。最後に、〜である。
文を明確にする
文は明確に書きます。
悪い例
TypeScriptは、万人に勧められるものではないかもしれない。
改善例
TypeScriptは、開発者体験とプロダクト品質を向上させる。しかし、プログラミング初学者にはオススメできない。
不明確な文になった場合は、その理由の分析不足の可能性があります。 「オススメできない場合はどんな場合」などのように分析を進めることで、主張の明確な文になります。
不明確な文になってしまう可能性のある表現
- 二重否定(〜なくはない・ 〜ないわけではない)
- 受け身(〜と思われる・〜と考えられる)
- ぼかし(たぶん・など・ともいえる・ちょっと・かもしれない)
「だ・である」と「です・ます」
1つの文章で、どちらを使うか統一します。 一般的には、説明文では「だ・である」を使います。読者に親しく話しかける文章では「です・ます」を使います。
まとめ
私は、Webにある生の文章が読みづらいといつも感じていました。文章作法を知ったことで、わかりやすい文というのは、作法がいくつもあるということを知ることができました。 また、作法は一気に身に付けられる物でもないと感じました。これからは少しずつでもアウトプットに反映しつつ、伝える力を上げていきたいと思います。
テキスト校正ツール
VS Codeの拡張でテキスト校正ツールがあります。VS Codeで文章を書いていれば、プログラムの構文エラーのようにエラーを出してくれるのでオススメです。
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